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聖職の碑のmitakosamaのレビュー・感想・評価

聖職の碑(1978年製作の映画)
3.8
スカパーにて。これはちょっと考えさせられる内容だったなぁ。

大正時代の実話で、学校行事で駒ケ岳に登り、遭難の上に複数人の死者を出した話。

校長に鶴田浩二。穏やかだが内に秘めた教育への熱意がある初老の教育者を好演してる。若い頃はあまり好きな俳優では無いけど、この時期は抑えた演技がいい塩梅で安心して観れる。

校長の熱意に同調する教員に地井武男ら。
逆に駒ケ岳に登る意味を見出せない若い教員に三浦友和や北王子欣也。彼らも独自の教育観をもっているが、世代的に白樺派などと一緒くたにされる。

結局校長か熱意で押し切り登山を決行するが、トラブルが重なり最悪の事態に。
この辺の、子供達が凍死する描写の目を覆いたくなる凄まじさ。

でも、話の真骨頂は下山後の後日談なんだよな。多くの犠牲者を出した不祥事だが、事故を風化させないが為に、記念碑を建て亡き校長に対する敬意を表する。

月並みな言い方だが、正に今の時代だからこそ見るべき物語だ。
今は不祥事や事故が起これば、再犯防止の為に廃止が当たり前。すぐ臭いものに蓋をする。
でもこの話では逆に、痛ましい事故の現実を踏まえ今もその伝統行事を守ってるんだよね。

いつの時代も教育のあり方は議論が絶えないが、そんな人にこそこの映画に描かれる理想論を討論の議題にしてほしい。
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