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愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像のkanappeのレビュー・感想・評価

3.0
【愛しているんだ】
フランシス・ベーコンの映画でありながら、その恋人、ジョージに焦点を当てた破滅的な愛の物語だった。
映画としては、おそらくベーコンが好きな人じゃないと楽しめないだろうから完成度は低いかもしれないけれど、ベーコンが好きだからわたしは好きでした。

ベーコンの絵を初めて見た時、こんなにも自分の辛さに寄り添ってくれる絵画があるだなんて、びっくりした。
当の本人は劇中で語るように、楽天家であり、意外にもビジネスライクな面もあった。感情の表象としての作品ではなく、あくまでも「形」…肉体や静物を破壊させることを好んだ。誰にとっても、人々が感情移入しやすいのは、形が決められていない…あくまでも形而下学的だからなのかもしれない。

その対称にいるのが恋人ジョージだったのが、とても興味深かった。繊細が故、強迫観念と薬物、アルコールに溺れていく、ある意味とてもピュアで純真な存在。
どれだけ二人の関係が辛く、周りから見て歪んでいたとしても、後悔しきれない結果で終わっても、わたしには純愛に見えてしまった。
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