ブタブタ

愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像のブタブタのレビュー・感想・評価

3.5
『ラピュタ』で空から女の子が降って来てからあらゆる安手のアニメ・ラノベでは空から女の子(ヒロイン)が降ってくる様になったけど『愛の悪魔~フランシス・ベイコンの歪んだ肖像~』では本当に天井を突き破ってヒロイン(或る意味)が降ってくる。
これが実話なのがすごい。
そしてそれが主人公にとっての或る意味「運命の相手」でもあるし何かこの二人の出会いからしてファンタジー。
フランシス・ベイコンのドキュメンタリーや日曜美術館などで見たベイコンと本作の記憶が混じってる。
「二十世紀最も重要な画家」フランシス・ベイコンと彼のミューズとなる男ジョージ・ダイア。
ベイコン宅に泥棒に入ろうとしたジョージが天井からアトリエに落ちて来る。
それを扉の影から見ているベイコン。
ここで「服を脱げ。ベッドに来たら欲しいものをやろう」
が映画のセリフだけど確かドキュメンタリーの再現フィルム?ではベイコンは初めからアトリエに居て自分の絵の前でまるでジョージが来るのを知ってたみたいに悠然とタバコをふかしながら「天から堕ちて来たが天使ではないようだな」と言う。
豊田市美術館でのフランシス・ベイコン展を見に行ってその作品の巨大さにまず驚いた。
特に三幅対(トリプティック)
スコーンと抜ける様に均一に一、二色に塗られていて奇妙に歪んだ人物なり生き物なりが中心に佇む絵。
ベイコンの作品についてはキリがないのでこの辺で😊

ナボコフの『ロリータ』は作品の知名度と反比例して内容は殆ど知られてない。
小悪魔的美少女が中年男を誘惑する、みたいな話だと思われてるけど全く違う。
『ロリータ』の少女ドロレスはごく普通の少女であり被害者であり「本来あるべきだった人生」を主人公である男に搾取され尽してしまったという酷いお話し。
その結末もジョージ・ダイアの生涯に何か似てる。
ジョージ・ダイアもベイコンとの出会いによって本当はあるべきだった人生を搾取され尽してしまったと思うといたたまれない。
ベイコンの「恋人」として有名な5人のうちジョージは三番目でジョージを描いた作品が最も多くそれだけジョージはベイコンに芸術的霊感みたいな物を与えていた存在だったのだと。
四番目の恋人はベイコンの作品管理・遺産相続人となり五番目の恋人を追い掛けて行った先でベイコンは客死する。
何かジョージ・ダイアが1番割食ったというか損した感じに思えてならない。

今はなきアップリンク渋谷にて。
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