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愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像のbennoのレビュー・感想・評価

3.6
1971年、パリのグラン・パレ…そこで大きな喝采を浴びるイギリスの画家フランシス・ベーコン(デレク・ジャコビ)…その祝祭の裏では、ある悲劇が起きていました…。

20世紀を代表する画家フランシス・ベーコンと彼の作品のモデルであり愛人だったジョージ・ダイアー(ダニエル・クレイグ)の関係を描いた作品…。

話は7年前に遡ります…。

ベーコンのアトリエの天井からひとりの男が降ってきた!! …不審者に気づいたベーコンはその男を舐めるように下から上までガン見…そして…

“Take your clothes off. Come to bed and you can have whatever you want.”
 服を脱げ…ベッドに来たら欲しいものをやろう…。

(๑˙―˙๑)ꩢ????…これがベーコンとダイアーの出逢いです…。


ベーコンを演じるデレク・ジャコビ…圧倒的な存在感です…サーの称号を持つ英国演劇界の重鎮…ベッドに跪くM男を見事に演じ、目で懇願するシーンもお見事!! そしてお化粧シーンも見入っちゃいます…。仕草がとても自然…実際彼は同性婚者でした…納得!!

今作登場の友人で『ヴォーグ』のカメラマン、ジョン・ディーキン本人が撮影した写真を見ました…流石サー・デレク・ジャコビ!! ベーコンにそっくり!! ダイアーはちょっと違うけれどイケメン…。

そして大きな丸い鏡が鎮座するゴミ屋敷のようなベーコンのアトリエ…ちょっとオシャレに見えるところも見事に再現されています…。

お化粧と声色遣い、そして英語訛りも感服するほど…ティルダ・スウィントンは見事に化けてます…。

しかし特筆すべきは坂本龍一の音楽!効果音! …素晴らしい…ダイアーの無意識に反復される悪夢の中…皮を剥ぎ取られたような人間の悍ましい姿…そこに呻き声や無機質なノイズ…そしてとても冷たい氷のようなピアノ音…映像と呼応して恐怖を感じつつも惹きつけます…。

エンドロール…Ray Noble の♬ Time On My Hands の後に転換される曲も実にカッコいい♪


今作では、ベーコンの実際の作品はお披露目されませんが…本物さながら、映像や時が淀んだり歪められたり、またデフォルメされたり…ふたりの関係性、心理描写に焦点を絞ったヴィジュアル化…ベーコンの絵画の世界に浸れます…。

ダニクレの全裸は…残念っს ボカシ反対!!


“Pleasure is impossible to define. And I feel horror occupied much the same territory.”
快楽は説明し難いが…恐怖も同じ領域に属している…。
       ーフランシス・ベーコンー
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