Arlecchino

逃亡地帯のArlecchinoのレビュー・感想・評価

逃亡地帯(1966年製作の映画)
4.1
それぞれに傷を抱えた中流階級の人々が、虚飾のコミュニティで虚しいパーティを開催する。
そこにババ―の脱獄の知らせが入ってきて、コミュニティに小さからぬ波紋が広がる。ババ―を憎む者、ババ―に負い目を持つ者、ババ―の妻と肉体関係のある者、、、それぞれに動揺が走る。
この波紋と動揺が、傷ある人々のエゴを徐々に顕わにし始める。やがてエゴが嵩じてある者はリンチに走り、ある者は調子づいて暴徒となり悲劇が増幅する。
人種差別、親子の断絶、夫婦関係の崩壊などなど、(ベタな表現ですが)物質的に豊かになるのと裏腹に心が荒廃していく、'60年代アメリカの暗部を象徴するような悲劇を映像化していました。
重い映画ですが人それぞれの悲哀がよく描かれていて、群集劇として傑作だと思いました。
ただ、上記のようないろんなものを詰め込めようと間口を広げすぎて、少し収拾がつかなくなってしまった感じがします。
今思うと驚くような豪華キャストですが、適役でみなハマっていましたね。
Arlecchino

Arlecchino