このレビューはネタバレを含みます
凄い…。
間違いなくあのタンクローリーは生きている。排気ガスを撒き散らし、轟音を響かせながら、大きな茶色い体で追い回してくる生き物。
運転手が正体不明な故に、もはやタンクローリーと運転手は一体化しており、生物味が増している。
デイビッドの車が赤くてキュートなだけに、タンクローリーはさながら獲物に襲いかかる肉食動物のようであり、また、少女を穢さんとする暴漢のよう。
冒頭、デイビッドの車視点でしばらく話が進むので、観る側はデイビッドだけでなく、彼の車にも感情移入してしまう。だからこそ、あのタンクローリーの気色悪さが際立つ。
結局、何故あれほど執拗に追いかけてきたのかは分からない。話が通じず、不気味過ぎる「タンクローリー」という生き物のまま、最後は死ぬ。
最後の夕陽を浴びるデイビッドの姿は、獣との死闘を制した男そのもの。