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夏物語のcyphのレビュー・感想・評価

夏物語(1996年製作の映画)
4.7
映画、気象のアート特集にて6年ぶり!に鑑賞 坂本安美さんがトークの中で流してくれたメイキング映像や魚住桜子さん『映画の声を聴かせて』その他ロメールに書かれた様々な文章を通してこの作品がどのように親密さを包含して成立してるかを見聞きした状態で観たので、すらりと成長したアマンダ・ラングレがスタスタと海辺の山を歩いていくだけで最高…となってしまう 映画としてもほぼずっと女の子とふたり歩いてるショットばっかりでたまらん 歩いてるシーン→日付→歩いてるシーン…で繋ぐのほとんど狂っててすごい この日差しこの風はカメラのこちら側にいるロメール爺にも届いてたんだよな、とつい目を細めて観てしまう

ロメールが若き日の自分を投影して書いたという主人公ガスパールの寡黙に見えてただ優柔不断なだけ、要らんことぜんぶ言っちゃう阿呆なだけってキャラ造形もロメールの恥じらいや憧憬が感じられてどこか愛おしい いま見るとやれたかも委員会3連弾でもある マルゴしか勝たん、みたいな気持ちにしっかり誘導させつつもマルゴはマルゴで結構ウェットな女なところがいい 恋人でなく友だち同士だって傷つくことがあるのよ、と言いながら友だち同士ではしないようなキスを差し出すマルゴの瑞々しい若さよ

2017.6.3 角川シネマ有楽町
ちんけな自意識ちんけな会話ちんけな恋、ぜんぶ取るに足らないしなんならいらいらだってするけど 海や太陽や小麦色の肌でぜんぶ最高になっちゃう 幸も不幸もなく夏だけがあるかんじ‬ ぐずついたバカンス かんしゃくもちの女の子たち 夏休み
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