これは見逃している気がして、DVDを購入して鑑賞。やっぱり未見だった。

いつもの成瀬。結婚10年目で子どもがいないというのは、当時きっと色々言われる類の家庭になると思う。倦怠期でいつも気のない上原謙と、お金のことばかり考えている高峰三枝子の夫婦。フルムーンのCMとかあった気がしたけど、何か夫婦としてしっくりこない気がする。高峰さんが市井の主婦にしては豪奢な雰囲気があるから？

その高峰三枝子が歯に挟まったものを箸でほじって、お茶でクチャクチャ口をすすぐ。イワシ4本に梅干しの貧相な弁当には髪の毛が入ってしまっている。いくらなんでも、というゾワゾワする描写。
案の定、上原謙は職場で机を並べる未亡人のお弁当を見て、丁寧でおいしそうな腕前に惚れ惚れし、好感を持つ。彼女に美術展に誘われてデートをし、徐々に不倫の関係に発展していく。

上原謙も初の不倫で隠すのも下手だし、高峰さんに責められても黙り込むくらいしかできない。ただ、そんなウブな恋愛ゆえにたちが悪く、深入りしていく。

様々な映画で同じようなテーマを扱いながら、不倫が長くて気怠いパターンや、不倫が始まりそうで始まらない場合や、シリアスだったりコミカルだったり、色々作れるものだなと思う。本作はコミカルに始まるけれど、モヤモヤと引きずる気配で解決せず終わる。とりあえずいつも上原謙が悪い。

結婚10年目の倦怠期の夫婦の話。タイトル妻だけど、夫婦それぞれのモノローグで始まって終わる。永遠にこの繰り返し。一生倦怠期。
親戚にそれぞれ3回結婚した人が4人いて、うちの両親含め何か危機はあったにしてもなんだかんだ別れてない夫婦とくらべてみると、多婚一派は見た目もよく優しいから当然モテるとかもあるが、何が違うのか個人的に思うのはお金でも子供でもなく、マメさであるように思う。というか、倦怠一派は面倒くさいから別れないんだろなと思ったことがあった。だから倦怠で、妻は一生急須を片して、夫婦はそれぞれモノローグを永遠に続けることになる。

• #没後50年成瀬巳喜男の世界

〖1950年代映画：小説実写映画化：人間ドラマ：東宝〗
1953年製作で、林芙美子の小説『茶色の目』を実写映画化の人間ドラマで成瀬巳喜男の夫婦三部作の１作らしい⁉️
なんか…妻が…旦那さんの気持ちもわからんでもない…って作品でした😱

2024年265本目

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