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ワイルド・スピード MAXのnetfilmsのレビュー・感想・評価

ワイルド・スピード MAX(2009年製作の映画)
3.2
 ドミニカ共和国の山道、ガソリンを積んだ大型タンクローリーが田舎の山道を走る中、3台の車が猛追する。ドミニク・トレット(ヴィン・ディーゼル)の合図により、車外に出たドムの最愛の恋人レティ・オルティス(ミシェル・ロドリゲス)は、用意周到に最後尾に細工をする。ドムの一味には、『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』のハン(サン・カン)がいる(この後、東京に行く予定だと語っている)。銀行強盗をせず、ガソリンに狙いを定めたドム一味にとって、今回の仕事も容易かったはずだが、爬虫類を飼う運転手がなかなかの曲者で、6人の計画は失敗に終わる。『ワイルド・スピード』において、住み慣れたLAの街からドミニカに逃げて来た男にも、徐々にアメリカFBIの包囲網が迫って来ていた。ドムと共に住み慣れたLAを離れ、彼を追ってドミニカ共和国にまでやって来た最愛のパートナーを守るために、大金を置いてドムは出て行く。しかし長年連絡を絶って来た妹ミア・トレット(ジョーダナ・ブリュースター)からの報せにドミニクは絶句する。一方その頃、『ワイルド・スピードX2』のカーター・ベローン逮捕により、FBIに転職したブライアン・オコナー(ポール・ウォーカー)は麻薬密売の大物「ブラガ」を逮捕し、ドラッグを撲滅する為に奔走していた。

 『ワイルド・スピード』シリーズ第四弾。シリーズ番外編的な扱いだった『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』を経て、W主演的立場だったヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーが再結集した処女作『ワイルド・スピード』の正当なる続編と言っていい。ハイ・スクールの頃からの腐れ縁ながら、クラシック・カーを愛し、罪を憎まない最愛の人レティを失ったドミニクの復讐劇と、麻薬撲滅という任務遂行のため、ドラッグの元締めを追うブライアンとが思いがけなく同じ敵と出会い、利害が一致する。その強引な脚本上の展開には苦笑しつつも、2人の再会の葛藤の場面は『ワイルド・スピードX2』のブライアンとローマン・ピアース(タイリース・ギブソン)との関係性と同工異曲の様相を呈す。ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーも年老いたが、それ以上に可憐だったジョーダナ・ブリュースターも随分年を取った 笑。月日の流れは残酷である。敵役の存在感の薄さは相変わらずだが、アメリカ×メキシコのボーダーライン上の地下トンネルのアイデアは、心底馬鹿馬鹿しいアイデアながら、ドナルド・トランプがメキシコとの間に国境を作ると宣言した現代を数年先んじていたと言っていい。かつての『ワイルド・スピード』シリーズは、女よりも車を選ぶようなカー・マニアたちのストリート・レースの熱狂だけで全てが成立していたのに対し、今作は脚本を練れば練るほど、カー・チェイスの根源的な快楽からは大きくかけ離れて行く。物語の出来は旧作や続編と比較しても極めて凡庸な内容ながら、ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカー両雄が並び立つ姿はやはり魅力的に映る。
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