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極道戦国志 不動のmalのレビュー・感想・評価

極道戦国志 不動(1996年製作の映画)
2.0
評判を聞いてずっと見たかった作品。三池監督らしいエロ・グロ・ナンセンス!首が飛ぶ、血飛沫があがる、死体の首でサッカーする、恥部からの吹き矢、謎の濡れ場。最初に「公序良俗に反する作品である」というテロップが入るのもむべなしです。狂気の作品。不必要な残虐シーンや濡れ場が結構おおいですが、この映画を見る人にとってはそれを期待してますから…。とんでも設定すぎるのでグロテスクというより笑えました。カルト映画としてもっと話題になっても良さそうなものです。

谷原章介さんが演じる主人公・不動が高校でありながらヤクザであることなんて気にならないほど異常すぎる設定の数々!”シャブ寺”、ナイフや拳銃、爆弾を使う小学生、女子高生が両性具有でストリッパーかつ殺し屋で、武器が例の吹き矢。当時32歳の高野拳磁さんが演じたどうみてもおじさんの巨漢高校生、常に何かを食べている(カクテキ?)殺し屋(普通に体育教師として赴任してくる)など、キャラクター設定が基本的におかしい。(褒めてます)個人的に教師として赴任してきた殺し屋ゴンドウを演じた新妻聡さんが良い!棒読みではあるんですが、韓国人という設定もあってそれがむしろ味に感じます。ゴンドウのその後のふるまいを思えばちぐはぐですが、不動の父との食事シーンでは彼の朴訥さと哀愁を感じて印象深かったです。

キャラクターのパンチは効いてますが、ストーリーはあまり進まず、テンポはよろしくないです。三部作らしいのでやむなしかも。(なお続編は三池監督の制作ではありません)もっと勢いに任せてドンパチやってほしかったですが、基本的には一方的な殺戮シーンばかりで、きちんとした戦いは終盤くらいしかないのは残念。キャラクターの背景も描かれていないので、なぜ仲間は不動に尽くすのか、どうして異能を得たのかなどわからず。アイデアは満載であるんですが、それ以上のものはないかな。過激な演出に慣れてしまうと退屈と言ってもよいかも。竹内力さんは物語の中心人物ではあるもののアクセント程度の見せ場でしたし。
三池監督の暴力映画でいえば『初恋』の方が私は楽しめました。もちろん制作費の関係もありますから仕方なしの部分もあります。
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