彦次郎

極道戦国志 不動の彦次郎のレビュー・感想・評価

極道戦国志 不動(1996年製作の映画)
4.1
オカルト打法なる理論(パチンコに詳しくないので詳細不明)で著名な谷村ひとし先生原作、国内屈指のバイオレンス多作監督三池崇史氏によるヤクザ映画の枠を大幅に超えた荒唐無稽なアクション映画。
冒頭からミッキー・カーチスと田口トモロヲが出演し、しかも本編に関わってこないという謎の豪華さ。
主演は若き日の谷原章介氏でこの撮影時には後年クイズ番組「アタック25」の司会を務めるとは夢想にもしなかったでしょう。この谷原章介氏演じる不動力のキャラの濃さは特筆ものです。九州仁王会不動一家の父親が関西大手暴力団夜叉組との喧嘩により自身で兄を斬首、それを目撃した力は兄の血で自ら入墨を入れるという小学生とは思えないエピソード。そのためか10年後九州仁王会不動一家の若頭として務めるも裏では旧態依然のヤクザ世界を壊し極道新世代を築こうとする組織のリーダーを率いるという恐るべき高校生となっています。彼の携帯が鳴る(たいてい授業中)と死人が出るというクラスメイトでいたら絶対関わりたくないタイプです。
不動力の組織により極めてテンポよく仁王会の幹部たちが抹殺されていくあたりは爽快です。その殺し屋ですが膝を立てて拳銃をかまえ標的をぶち抜く小学生たちや女性器から吹き矢を出し耳から脳を打ち抜く両性具有な女子高生ストリッパー観音寺ミカとこれまた尋常ではありません。もう1人の女子高生童子は銃をぶっ放すだけでなく情報処理室で不動力から後背位で男性銃をぶっ放されるというエロス部門も担当しています。
更に仲間に加わることとなる愛染ですがどうみても30代位の外貌で朝からソープ料金を払わず(原作だと10輪車という絶倫)に店員を痛めつけて転校してくる破天荒ぶり。生首を蹴った(小学生達が生首サッカーをして転がしてきたため)だけで首が破裂する巨体怪力ぶりも凄いですがバイク爆発を直接喰らってもサイボーグみたいになって復活する生命力は人外とも言うべき存在です。
こんな無敵の連中ですが夜叉組の能間や力の腹違いの兄(不動の高校に教師として送り込まれる)により壊滅状態となるわけですがその辺りの過程がかなり残酷でした。この兄は普段は温厚に見えて質の悪いキムチを提供されると厨房で料理人を半殺しにする危険人物ですが更には蹴りを入れて壁をぶち抜いて相手を川に突き落とすという作中でも凶悪な強さを誇っていました。もっとも父親(峰岸徹)も直ぐに息子の首を切ろうとする凶人なので遺伝なのかもしれません(力は頭脳派なのでそこまで強くないけど)。
これでもかとグロ要素と激しいバイオレンス描写を見せつけつつも教師とは思えない痴態な格好で赴任してきた弥勒純と観音寺ミカの性交など本筋にそこまで重要でもなさそうなエロシーンを入れ込んで視聴者を画面から離さないように作りこんだ三池監督に脱帽です。
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