シャチ状球体

遥かなる青い海のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

遥かなる青い海(1971年製作の映画)
4.2
一応音楽がエンニオ・モリコーネなのに日本語圏の情報が限りなく少ないマイナーなイタリア映画。

文明社会から隔絶されたポリネシアに住むタナイが漂着したアラスカから脱走するところから映画は始まり、モリコーネの情緒豊かな音楽と共に海洋ドキュメンタリー風のナレーションに合わせて少数民族の文化や生活風景が淡々と映し出されていく。

退屈な日常と自由への渇望。サンゴ礁の島に住んでいるというだけでも現代人からすれば充分自由なように見えるけど、どんな景色も日常になってしまえば新鮮に感じられなくなってしまうのだろう。

たった一人で何も持たずにカヌーで旅に出たタナイのサバイバル術は見ているだけで面白く、知らない魚のさばき方等の豆知識が次々と披露されるので気分はまるでナショナルジオグラフィック。

貼れている時はもちろん、曇り空でも海は青く澄んでいる。どんな天候でも変わらない色で輝き続ける海の神秘性もそうだし、逆に飢えやサメといった危険もしっかり出てきて自然の色々な面を見せてくれるのがバラエティ豊かで飽きさせない。

アメリカの植民地主義に対する批判も入っていて、どこかのサブスクに入ってもっと多くの人に知られてほしい……。
シャチ状球体

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