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WXIII 機動警察パトレイバーのmuscleのレビュー・感想・評価

WXIII 機動警察パトレイバー(2001年製作の映画)
5.0
古式ゆかしいフィルムノワールやっているせいか、letterboxdとIMDbでは『野良犬』『天国と地獄』と比較されたりしていた。ラストは『めまい』だし。

PCに映された二次元の絵を拡大する場面があったとして、はたしてそれを登場するキャラクターたちは異物として認識するのかどうか、そんな「しまじろう動物園」問題が今作でも(自覚的に)起こっている。もちろんPC画面はアップされ、ドット絵になる。が、それを見て二次元のキャラクターたちが感動し、識別する。パト2でもあったそれが今作ではそれが変奏されている。破壊されるカメラで終わるのもシブい。
ほかにも面白かったのは廃棄物13号(WXⅢ)が機械を身にまとっていくのに対して、刑事は最初から杖をつかされている。さらに女は大学の授業でスライドを操作し、若い男はUFOキャッチャーを操作する。UFOキャッチャーを使って重力を手に入れるという構造は、13号の捕食シーン、最後の落下で反復される。
いかにもパト2の今敏的な運動感無視の隠喩まみれのカットで、語られていくのが少ししんどかったが、押井守的なオタク的自意識も、センチメンタリズムも、存在しない分細部によって神格化されていくパト2よりもずっと面白かった。というかこれより面白いアニメ映画あんまない!
墓場での横移動と都市風景の対比の直前、心霊ビデオ的に女が登場するのがすごかった。主要人物が映っていない箇所だけ集めても成り立ちそう。やっぱり花やしきのシークエンスが最高。
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