kkkのk太郎

WXIII 機動警察パトレイバーのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

WXIII 機動警察パトレイバー(2001年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

『機動警察パトレイバー』シリーズの劇場版第3作。

城南警察署に勤務する刑事2人が、湾岸作業中のレイバーが連続して襲われるという事件の解決に挑む。

本作は『機動警察パトレイバー』シリーズの9年振りの新作。そして、短編を除いては今現在最後のアニメーション作品となっている。

はじめはOVAとして企画されており、『機動警察パトレイバー2』の後で特車二課の物語は作れないということから、新キャラクターによるスピンオフ作品として制作される予定だったらしい。

それが紆余曲折の結果、劇場用アニメとして製作されることになり、劇場版第3作にしてスピンオフであるというよくわからない作品が誕生することとなった。

スピンオフだろうが正統派な続編だろうが、面白ければなんの問題もなかったのだが、生み出されたのは廃棄物13号に勝るとも劣らない怪物であった…

そもそも、この作品の原作はゆうきまさみ版『パトレイバー』の傑作エピソード「廃棄物13号」編である。
週刊連載されていた漫画のエピソードの1つなので、もちろん映画用に脚色する必要はある。
とはいえ元々の内容が現代社会に怪獣が現れた場合警察という組織がどう行動するのかを描いた非常に映画向きなものであるため、ある程度忠実に映画化すれば名作になることは間違いないはずである。

それなのに、この映画の製作陣は不要なオリジナル要素を継ぎ足し、全く魅力のない新キャラを主役に据え、押井守の出来損ないのような真面目な脚本を書き、パトレイバーの持ち味である明るさを捨て、それとは全く真逆な陰惨な雰囲気を持つ作品を作り上げてしまった。

『パトレイバー』でありながら98式の出番を極限まで抑えるというシナリオは、『パトレイバー2』の真似事をしたかったのだろうが、あれは全盛期の押井守という天才だからこそなし得た偉業なのであって、凡人がやってみたところで上手くいくはずがない。

本当に何故こんな作品を作ってしまったのか製作陣を問い詰めたい。結局この後、実写版を除いてパトレイバーは作られなくなってしまった。
もし、この作品がヒットしていれば…数字的には失敗しても『パト1』や『パト2』のように長く語られる名作だったとしたら、違う未来もあったのかもしれない。

作画のクオリティは素晴らしいのに、本当に勿体ない。
どうしてもスピンオフとして本作を作るのであれば、主役をあんな新キャラにするのでは無く、松井さんと部下の片岡にしていれば、パトファンとしては文句も少なくなったのだが。

はっきり言って観る価値はない。完全なる蛇足です。
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