平野勝之の映画はリアルなのかそれともドラマなのか、それは『由美香』や『監督失格』を観た時も感じたこと。
手持ちカメラや8mmカメラを気の向くままに自由に撮影し、その時、撮りたいものをカメラにおさめる。カメラマンが映っていようとマイクの影が入っていてもお構い無し。
そんなリアルで現実味のある映像の一方で、物語はどこかわざとらしく白々しい。
不思議だ。でもそんな平野勝之にしかできないリアルとドラマっぽさのバランスが上手い具合に均衡がとれていて、心地いい。
それにしても平野勝之の描く男はどうしてこんなに自由で自分勝手なのに、孤独さや哀しさを感じさせるのだろう…。切ない。