Omizu

音のない世界でのOmizuのレビュー・感想・評価

音のない世界で(1992年製作の映画)
3.8
今年のベルリン映画祭で金熊賞を受賞したニコラ・フィリベール監督作品。カイエ・デュ・シネマ誌ベストテンで5位に選ばれている。

パリのろう学校に通う子どもたちを中心に「音のない世界」を描いたドキュメンタリー。効果音などは一切ない純粋な観察映画。

泣き虫でクリクリお目々のフローランくんが可愛すぎた。他にもアラブ系や日系の子も。

いい意味で一昔前のろう学校での教育というのを知ることが出来てよかった。昔よりは少なくなったが、この当時では多くで手話が禁止されているというのは驚いた。後ろで手を結ばされて手話ができないようにしているのも衝撃。そんなの虐待じゃん。

ここでは禁止はしていない。でも学校では喋れるように補聴器をつけたり発音の練習をする授業が大半。子どもたちは辛そうに見えた。

一方でその教育に反対する人も描かれる。その人でこの映画が終わっていて、フィリベール監督の姿勢が垣間見える気がした。

アメリカから来たろう学校の生徒たちとの交流には心温まるものがあった。それぞれの国で手話は違うはずなのに打ち解け合い、別れ際には抱き合い涙する。

今の教育はどうなっているのだろうか。『コーダ』がアカデミー賞をとった現在、注目されている手話だが、その教育については考えたことがなかった。探究心をかきたてられる面白いドキュメンタリー作品だった。
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