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音のない世界でのmomのレビュー・感想・評価

音のない世界で(1992年製作の映画)
3.5
これはどちらかと言うと健聴者が観るべき映画だと思う。

物心のつかない幼い子供たちが日々学校で発声練習をするのは、健聴者のために他ならない。
世界は健聴者が支配しているからだ。

「家族も親戚もみんな聾だから楽だ」と言う男性。
自分以外の家族は健聴者で、手話の出来る家族はいないと言う女性。
お互いに相手の世界に入ろうとはしない。

手紙に触りたかった男の子、物件の説明が分からずもどかしい思いをする男性。
大声をあげてお菓子をせがむ子供や、呼べばすぐに気付いてもらえる健聴者と違い、小さな頃から意思の疎通がスムーズに出来ずに我慢をせざるを得なかったり、誤解をされたりすることが多かっただろうと思う。

よく「生まれてくる子どもも聾がいい」と言うことを聞くけど、(『愛は静けさの中に』でも言ってた気がする)それは当事者でないと分からないな。

音のない世界に住む人にとって、何もかも聞こえてしまう世界は不便なのかもしれない。
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