シンタロー

ナイル殺人事件のシンタローのレビュー・感想・評価

ナイル殺人事件(1978年製作の映画)
3.6
アガサ・クリスティーのポアロシリーズ「ナイルに死す」をジョン・ギラーミン監督が映画化。
巨額の遺産を相続した性悪美女リネットは、親友ジャッキーから婚約者サイモンを屋敷で雇ってほしいと相談を受けるが、リネットはサイモンを略奪婚してしまう。新婚旅行先エジプトで、ナイルの河下りを豪華客船で楽しむ二人。客船には旅行中の私立探偵ポアロも乗り合わせていた。行く先々でストーカーまがいの行為に及ぶジャッキーは、酔っ払った挙句、誤ってサイモンの足を銃で撃ってしまう。騒動の翌朝、リネットが銃殺されていた。客船にはジャッキー以外に、リネットを恨む客が何人も乗っていて…。
当時ポアロやコロンボなんかのシリーズが日本では人気だった気がします。自分の家族も好きだったんで、TVでよく放送されていた80年代は結構観てましたね。TV版はカットされまくりでしたが、フルで観ると事件が起きるまでの演出が間延びしてる感も。「オリエント急行殺人事件」と比較されることが多いですが、ポアロ役ピーター・ユスティノフのコミカルな様相と、ジョン・ギラーミンの大衆的な演出のせいか、よりわかりやすくTVドラマっぽいのがこちらなのかな、と思ってます。
「オリエント〜」に続き、女優陣は本当に豪華。大御所は言うまでもなくベティ・デイヴィスだけど、同じ老けパートのアンジェラ・ランズベリーのキャラが濃いせいか、ここではちょっとおとなしめ。目の保養パートにジェーン・バーキンとオリビア・ハッセー。ハッセーは70〜80年代に結構いた典型的な日本でしか人気なかった系。キレイな黒髪と瞳の色は魅力的だけど、出世後の作品に恵まれなかったですね。この作品の後にあの人と結婚するなんて驚きでした。バーキンは好きな女優だけど、こういう大衆的な作品は似合わないと思います。幸薄で暗い印象しか残らなくて残念ですが、声と話し方はやっぱり素敵。髪型と衣装も可愛い。翌年ボンドガールになるロイス・チャイルズもいますが、自分は興味なし。エキセントリックな芝居で抜群の存在感を見せるのがミア・ファロー。突然現れてエジプトの名所説明始めちゃう時の顔ヤバすぎ。酔って醜態を晒す狂気じみた演技も最高。大好きだけど、出演してるだけでただじゃ済まない、って思えてくるので、鋭い人には読めてしまうのでは、って感じです。対する男優陣は地味目ですが、ポアロの相棒役デヴィッド・ニーヴンのダンディな佇まいが魅力的です。
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