よしまる

ダイヤルMを廻せ!のよしまるのレビュー・感想・評価

ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)
4.1
 マンスリーヒッチ、今月はリメイクもされた人気作「ダイヤルMを廻せ!」。

 リメイクのほうもおススメしてくれた方がいて観なくちゃと思いつつ、まずはこちらを復習。

 同年公開の「裏窓」「喝采」で高い評価を浴びる直前のグレースケリー。これはヒッチコックもハマるはず。これだけの美貌で、演技も難しい役をこなしている。抽象化された裁判のシーンなんて、そこらの女優さんだと「何すかこれ?」ってなりそうw

 不倫カップルのほうが正義とされるのは時代が時代なのでまあいいとして、それでも50年代にしては映像もスタイリッシュ。
 舞台での作家がそのまま脚本も書いているのでプロットも秀逸だ。

 時代と言えば、若手警官が女性のハンドバッグを持って外へ出ようとすると「捕まるぞ」と上司に嗜められるシーンがあるのだけれど、当時はゲイが犯罪だったのでジョークではなく本当に捕まるらしい💦

 舞台らしいちょっと芝居じみた台詞回し(いい意味で)で彩られた脚本から、数々の映画的仕掛けを散りばめ、そのハンドバッグのほか、手紙、鍵、コート、帳簿、トランク、ストッキング、あらゆる小道具が的確に役割を果たし、一級のミステリーに仕立てているのがもう、さすがとしか言いようがない。

 ほとんどが一つの部屋で起こっており、実際パーティーなどのシーンもあるにはあるが、いま述べたような仕掛けの数々に目がいくので退屈しない。
 もちろん、この殺人現場への侵入経路こそが文字通り事件の鍵🔑なので、サスペンス感がいちいち素晴らしい。

 いつもながら深いテーマとかそんなものとは無縁ながら、その娯楽性にかけては間違いなく50年代黄金期における傑作のひとつ。