邪馬台国を統べている女王・卑弥呼(岩下志麻)が、路頭に迷う外界の青年(草刈正雄)を引き入れたことにより、自国民を混乱へと陥れてしまう。日本古来の「政(まつりごと)」をテーマに扱っている、トラディショナル・ドラマ。
卑弥呼のお告げにより統治されている耶馬台国が、「女王(巫女)の存在意義とは?」という普遍的命題に気づいてしまう。完全オリジナル脚本というわけではなく、「古事記」「日本書紀」「魏志倭人伝」から様々なモチーフを引用している。
衣装やセットが安っぽく、屋内シーンは良くも悪くもアングラ劇を見ているような感覚が強い。だが、大自然を舞台にした屋外撮影と岩下志麻の神がかり的演技は、なかなかどうして見応えあり。バックに流れる、禍々しいミニマム音楽も印象深い。
古代神道における「巫女と遊女は表裏一体」を踏まえながら、性衝動の波及力を提示しているところが醍醐味。土方巽の暗黒舞踏団が出演している時点で、評価を底上げしてしまう自分がいる。