海月

ラストエンペラー/オリジナル全長版の海月のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

最近蒼穹の昴を読んでいたのもあり、劇中の宦官や儀式、生活様式を映像として見ることが出来てとても面白かった。また紫禁城にも行ったことがあったため、よりリアルに感じられたことも良かった。

広大な紫禁城の中に閉じ込められた、統治する力を持たない最後の皇帝。それはお飾りの皇帝であり、彼は本当の意味での「皇帝」になりたかったのだろう。それは満州国の皇帝になることで表されている。しかしながら満州国の皇帝になったとしても、今度は日本の傀儡として扱われ、自由と皇帝としての力は得られなかった。

ラストに近い、収容所の所長が犯罪者として晒し者にされるシーンは中国の不安定さと危うさが表れているように感じた。
出所後は「自由」を手にした溥儀であったが、ラストシーンでは紫禁城に戻る姿が描かれている。ラストエンペラーは紫禁城への憧憬を捨てることは不可能だったのだろう。なんとも切ない気持ちにさせられた。

英語であることの意味もあるのかもしれないが、やっぱり中国語で見たかったなぁという気持ちはある。
個人的に印象的だったのは、アーモが去ってしまうシーンの「She is my butterfly.(彼女は私の好きな女だ)」という言葉だった。
海月

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