nana

ラストエンペラー/オリジナル全長版のnanaのレビュー・感想・評価

5.0

極上の傑作

荘厳で素晴らしかった
圧倒的な力量がある映画

清王朝の最後の皇帝·溥儀の人生
実在した歴史的な人物の実話

ジョン·ローンに夢中になった。

約3歳で皇帝に即位したラストエンペラー·愛新覚羅溥儀(あいしんかぐらふぎ)
この方の人生はドラマティックだ。
時代に翻弄され、日本と中国、時代のはざまの悲劇の人。
気高く人生を全うした。

「火龍」と恐れられているも本作では溥儀氏の悲哀も含め、ジョン·ローンが美しく演じている。

即位する場面から始まり、白髪になるまで。
4つの国(清、満州国、中華民国、中華人民共和国)と2人の妻。

紫禁城の豪華な景色。
皇帝として城の外に出る事以外は何不自由なく育ち、近代化の波にさらわれる。

マンチューリア·傀儡国家の皇帝

二人の妻の妖艶さ。
酷薄な甘粕(坂本龍一)。
男装の麗人と阿片の甘美。
終始色香の漂うスクリーンは極上のベルトリッチ。

怒り·悲しみ·絶望
纏う音楽。
この人は何を信じればいいのだろう?

ラストシーンのあの表情が人生すべてを語っていた。
あそこはもう、涙がとまらない。



人生で二度の皇帝即位と退位。
囚人としての生活。

溥儀が亡くなる直前「何か食べたいものはあるか」の問いに答えたのは「チキン·ラーメン」。
日本のインスタントラーメン。
どんなご馳走よりもこれを。
晩年は心優しい伴侶と慎ましい生活を送った。
最後の妻は21世紀を見た。


この作品からジョン·ローンの大ファン。
Mバタフライ、イヤー·オブ·ザ·ドラゴン、チャイナ·シャドー…。
貪るように観た。どれも素晴らしい。

この作品との出会いは親族の写真。
若くして亡くなった父方の親族にジョン·ローンがよく似ていた。
私が生まれる前に他界して写真でしか知らない人。
「おじちゃまだ!」と見間違えるほど似ている。
みんなが動揺するほど酷似していたそうで、祖母はこのDVDを観て泣いてしまったくらい。
なので親戚の家にこのDVDがあった。

ソフトとシアターの再映で感動。
この出合いに感謝。
会うことが出来なかった大切な人が紡いでくれた作品との縁。

おじちゃま、ありがとう
nana

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