このレビューはネタバレを含みます
1968年時点で「2000年後は猿が地球を支配している」と想定した作品で現在10作まで増えたシリーズ全作品のオリジナル第一弾だ。
もともとこの1作完結で制作されたためか作品の完成度は高い。
まず若年層に理解をしてほしいのは、当時ソ連とアメリカの冷戦状態で、ひとたび間違いが起これば地球は核爆弾で全滅する恐怖が世界的に蔓延していた背景がある。本作品も結局衝撃的な結末から想起されるのは「核戦争の結果」だろう。
私は二度目の鑑賞だったが最初は幼少時代だったために記憶がかなりちがっていたと気づいた。
まず主人公のテイラー。宇宙飛行士の先入観から理知的な印象をもっていたが、今回観ると他の宇宙飛行士とはやや毛色の違う粗野な要素を持つ人物設定であった。そもそもチャールトンヘストンをキャスティングした時点でわかりそうなものだが、それは今の自分だからであろう。
人間の群れの中から美人なエバ(リンダ・ハリソン)を勝手に引き抜いて自分の側に置こうとするのだから。自身の欲望に忠実で身勝手な人物設定になっている。
ちなみにこのエバ役のリンダ・ハリソンは2001年のティムバートン版にゲスト出演している。
本作を観て感じたのはジーラやザイアスのように科学者や知識階層の人物は冷静で感情的ではなく「まず相手を尊重する」姿勢がある。
無闇な感情的行動に出ないインテリジェンスがつくづく大切なのだなと感じた。
本作を自身に置き換えて思案してみることもまた面白いと思う。
本作では猿と人間だが、自分は海外旅行をする時の東洋人である自身に向けられる白人の好奇な視線を思い出してしまう。