とにかく火野正平がすごい。
淡々とすごい。
工藤静香の美しさとエンディングの歌。
岩下志麻に負けない俳優陣の印象強さ。
佐渡の親分..
人間的で極道ものには見えないだらしなさが、反って最期の哀愁をそそる。
敵が身内になる事でどんでん返る、オセロみたいな構成。
大分前に観てまだ名も知らなかった火野正平の演技に感動し、名前を覚えてからしばらく。
タイトルを思い出せなくなって検索をかける時、何を間違えてか甲本ヒロトで調べ。最近観たから2010年以降のやくざ刑事ものだろうと3日3晩Wikiで調べ漁っても出てこない。半ば諦めかけてた時ふと極妻シリーズをもう一度見返してみようとWikiったあげくようやくそれらしきもの発見。火野正平でした。
そりゃ甲本ヒロトで検索しても出てこないわけだ。ずっとSPとかスペックとか相棒とか虎狼の血とか、お門違いな作品を気が散りながら観て、もう思い出せないかもなあと半ば諦めかけてたので、ひょんな発見に感無量。
ここまで執念を燃やさせる火野正平、恐るべし。大好きだ。
しかし、似てません?火野正平と甲本ヒロト。
愛しているからこそ突き放す。
「信じるしかないやないか!」
このセリフ一言を要に、岩下志麻の覚悟が決まり挽回劇へと展開してゆく。
工藤静香と岩下志麻、原田龍二と工藤静香、原田龍二とクラブの女の子、火野正平とキムラ緑子、かたせ梨乃と石橋凌、石橋凌と原田龍二、かたせ梨乃と原田龍二。
親子、夫婦、恋人、師弟、親戚、組。
利用される者、利用する者。
守るべきものと突き放すものの境目で繰り広げられる抗争、本当の愛とは何なのか、ベタだけど見せつけられる作品。
全6シーン4言しか出番とセリフのない火野正平がここまで記憶に焼き付くなんて、彼は何者なんだ。
正座で佇んでいるだけで、見下ろしてる岩下志麻に引けを取らぬ存在感がある。
過多演技のかたせ梨乃と対照的に、一切無駄な演技をしない役者だ。
「しばらく、家開けるから」
「帰らして貰えるかな、家に」
「これからはあんたがボスや」
「大丈夫ですか?」
この4言。火野正平のセリフ笑 出番と割りが多けりゃいいてもんじゃないんだな。
沈黙しててもピンボケしててもカット少なくても、光る人は光る。役者の魅力ってなんやろ。