Godfather

ミナのGodfatherのレビュー・感想・評価

ミナ(1993年製作の映画)
4.6
これを観るのは約30年ぶりだ。映画に興味を持ち始めた頃だったか、そういえばフランス映画ってまだ一度も観たことないなとたまたま予告で目にしたこの作品をレンタルビデオで観た記憶だ。
洋画なんてハリウッドのアクション映画くらいしか知らなかった田舎者の私には、2人の幼馴染の人生を淡々と描くストーリーも、半透明の人物像で心の声を重ねて描く面白い演出技法も、劇中に流れるシャンソンのようなジャンルの音楽も、フランスならではの皮肉の言い方なんかも、死というものをあれほど唐突にそれでいて必然的だと思えるように描く展開も、まあなにもかもが新鮮で印象的でレンタル中に数回は繰り返して観て映画サークルの友達にも勧めまくってたっけ。

普通そういう映画は10年後、20年後に観返したりするんだけど、この映画はその機会が今日の今日までなかった。
日本ではあまり話題にもならなかったからか、配信はおろかDVD化されたことすら一度もなく、最悪フランス版のDVDでも買って... とも思ったがフランス語のわからない私には無理すぎる話で、どうせ無理だろうなと思いつつ「午前十時の映画祭」にリクエストを出したこともあったが当然叶わずじまいだった。

そういえば数年前に『ソウルメイト/七月と安生』という中国映画(あれも凄く良かったが)を観たとき、ちょっと『ミナ』と似てるなと思った。ただ、『ソウルメイト』はやっぱり東洋映画らしい作りなんだよね。情緒的だしファンタスティック。そこへいくと『ミナ』はもう少しビターな感じなんだよね。救われない感じも含めて。
エテルの陽気というかパリピっぽいキャラにちょっとついていけない私はどうしてもミナ目線で観てしまうのだが、最後は最悪ながらもよくわかるというか、やっぱりそうなるよねえという結末だ。
30年経って変わった感想といえば、こういうちょっとしたすれ違いから取り返しのつかないことになってしまうってのは現実の人生でも割とよくあるよね、ということか。

やたらぼんやりした画質だったが昔のビデオ用のマスターを使ってたりするのかな。しかしそんなことはどうでもいい。二度と観れないと思ってたこの映画を配信してくれただけでも満足だ。
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