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カジノのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

カジノ(1995年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

カジノの経営を任される、ノミ屋の話。

映画開始から15分で、マフィアが糸を引くカジノの世界を説明してしまう、スコセッシの的確な手腕には脱帽。
ついでに、同じく映画開始から15分で最初の殺人を犯す、ジョー・ペシも最高だった。

物語的には、カジノ運営のいざこざを描きつつ、メインキャラ3人の群像劇が語られていく。
『グッドフェローズ』以来のテンポの良い編集で、次から次へと新たな展開を迎えるし、ジョー・ペシが繰り広げる暴力描写も刺激的で、見ていて飽きる事はないだろう。

ただ、3時間は流石に長過ぎるというか、特に後半はメインキャラ3人の色恋がダラダラと映されるので冗長に感じてしまった。
ここをもうちょっと詰めれば、2時間半ぐらいの映画に出来た気もするのだが…。

本作を見て思ったのは、人間の際限のない欲望について。
ジョー・ペシは言わずもがな、デ・ニーロもシャロン・ストーンも、あれだけのお金を得ても尚、それぞれ妻とヒモ男に執着してしまう。
もっと言えば、デ・ニーロは地元有力者の親戚を解雇しなければ…マフィアのボスは集計人の盗みを見逃していれば、あそこまで追い込まれる事はなかっただろう。

とにかく利益を求めると言うよりも、小さな損すら許せなくなってしまう、人間の高慢さや卑しさを描いているのが、なかなか興味深い。
後にカジノの世界が大企業や資本主義に乗っ取られていく事を考えれば、まだ牧歌的な話の様にも思えるし、決して大企業にはなれないマフィアの限界を指し示していた様にも思える。

『グッドフェローズ』的なヤクザな人々、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』的な大金が溢れる世界、「トラック運転手組合」が登場する辺りは『アイリッシュマン』も想起させられるなど、スコセッシ成分が存分に詰まった作品で、彼のフィルモグラフィー上でも意外と重要な作品なのではないだろうか。
見過ごされがちだが、上記した作品が好きな人なら刺さる部分があると思うので、未見だったら是非見て欲しいなと思う。
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