せーや

カジノのせーやのレビュー・感想・評価

カジノ(1995年製作の映画)
4.6
結婚する相手は選ぼう!

1970年代、ラスベガス。
賭博が合法の街で成功を収めた
ノミ屋出身の男サム・ロススティーンの半生を描く。

ラスベガスと言えば、今でこそカジノだけじゃなく
レジャーランドとしても楽しめる娯楽の街という印象ですが
もともとは、ゴリゴリのマフィアの街。
マフィアがこぞってカジノを建設し私腹を肥やした。

そんな古き時代を批判するのではなく
懐かしむノスタルジックな映画(に見えたよ)。

冒頭から主人公がボーン!
結末を知っときながら遡っていくタイプの映画です。

パッと見、マフィア映画なんですが
主人公サム"エース"ロススティーンはマフィアじゃない。
マフィアから信頼されているノミ屋であり、
その才能を買われてカジノ経営者に上りつめた男。
非常に慎重な男で、何事にも万全を期すタイプ。
そんな男が、破滅へと向かっていく。

マフィアとチンピラと悪女。
「3大関わったらいけない人種」と関わったがゆえに
彼は破滅の道を歩んでいくこととなるのです。
(マフィアに関しては恩恵の方が大きいけどね)

ストーリーの中で重要となってくるのは
何といっても人間関係でしょう。

栄光の階段を上っていくロススティーンを陰で常に支えてきたニッキー。
マフィアの典型とも言えそうな構図です。
自ら手を下さず、部下に任せることでヤバくなった時には責任から逃れられる。
まあ、ニッキーはちょっと性格に問題ありだけど彼の待遇はちょっと冷たいよね。

ロススティーンの上で全てを牛耳るボス連中には
ゴッドファーザーを見てほしいくらい幻滅します。
まあ、実際こういうボスの方が多いんだろうけど
それにしても何もしなさすぎだろ!
登場シーン常になんか食ってるやないか。

そして最重要人物、ロススティーンの妻ジンジャー。
彼女が諸悪の根源であり今作最凶人物なのです。
「ラスベガスで出会う女は金がかかる」とロススティーンも言うように
金にしか興味のない女性でした。

なんでロススティーンがこんな女性と結婚したのか?

そもそもジンジャーに恋愛感情は無かったのに。
美人だから?家族が欲しかったから?
8:2で美人だからでしょうね。

カジノのオーナー、さらにはマフィアに守られているというのは
非常に緊張感を伴うものだろうし、信頼などありえない場なんだろう。
だからこそロススティーンは信頼できる相手が欲しかった。
それは冒頭でも、作中でも、終始彼が言っていたこと。

ロススティーンって凄い優しい男なんだろうなあ。

マフィア映画ならではの血なまぐさいバイオレンス描写。
とにかく止まらないマシンガントーク。
飛び交うmotherfuckerな罵詈雑言。
そしてマフィア映画らしいラスト20分が美しい。

デニーロの落ち着き払った貫禄だらけの演技
ジョーペシの拭いきれないチンピラ感と狂気
そして何といってもシャロン・ストーンのビッチ全開。
「こんな女と結婚してはいけない」と心に刻もう!

「カジノ」に「ヒート」とデニーロ豊作年の一作。
マフィア映画好きにはたまらない作品のひとつです。
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