Toineの感想文

引き裂かれた女のToineの感想文のレビュー・感想・評価

引き裂かれた女(2007年製作の映画)
3.8
【絶品の不吉】
スタンフォード・ホワイト殺人事件を元にしたクロード・シャブロル監督作品。
上記の事件の概要を既にご存知でも問題なく楽しめます。

オープニングカットの色を反転させた真っ赤な空。開始1秒で不吉な香りがプンプンいたします。

頭の弱すぎる美女ガブリエル、女癖の悪い性欲モンスターおじいちゃんシャルル、すぐ激昂するイケメン御曹司ポールがおりなす不倫ありの三角関係。
主要登場人物が皆あたおかで大変よろしゅうございます。

この3名の恋愛が淡々と進んで行くのですが、それが凄く不快で違和感を感じさせるようにちゃんと計算されており流石シャブロル監督だなと思いました。

後は全てを見せず想像させるのがお上手すぎます!
脇役カプシーヌさんとシャルルおじいちゃんも男女の関係なんだろうしシャルルおじいちゃんの会員制クラブはえげつない変態サークルなんだろうな等、色々と勘ぐってしまう見えそうで見えない絶妙なちょっと出しが素晴らしい!
めちゃめちゃ芸術点の高い構成だと思います。

ラストのマジックのシーンはガブリエルさんの心の傷のメタファーかな?それとも汚い大人の世界を知って脱皮(成長)するメタファーなのかしら?
もしかしてブラックジョーク?
最後まで曖昧で非常に好みです。