No.2569
アジアを代表する三人の監督による、デジタルムービーオムニバス。
①「インフルエンザ」監督:ポン・ジュノ
3.5点
監視カメラの映像をアイレベルにしている。だから覗き見感覚で生々しい。台詞もいらない。
ゆっくり倒されるお婆さん可哀そう。
②「夜迷宮」監督:ユー・リクウァイ
2.9点
これも音声としてのセリフに依拠していない。台詞は字幕ベースだから。サイレント映画みたい。
③「鏡心」監督:石井聰亙
3.0点
これもまたセリフ自体はストーリー展開上、そんなに重要ではない。なぜなら、何言ってるかよく聞こえないから。
いきなり冒頭シーンから、市川実和子とKEE(渋川清彦)、町田康との会話なんか、全然何言ってるか聞き取れない。ファーストシーンなのにこの聞き取りにくさ、ゆえにこれは意図的と思われる。
台詞を「喃語化(なんごか)」させている。喃語とは「乳児などが発する意味のない声」のことである。喃語化することによって、いかに普段、見る側が「音声としてのセリフ」に依存しているかを思い知らされる。
試しにミュートして見直してみたが、筋自体はわかる。
ただし、最後まで喃語化させているわけではない。徐々にセリフ自体が力を持って浮かび上がってくるような印象があり、ラストのシーンはやはり喃語から実体のある言葉に戻っている感覚があった。