爆裂BOX

フランケンシュタイン死美人の復讐の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.7
無実の罪で死刑になった青年ハンス。恋人のクリスティーナも悲嘆にくれ川に飛び込み自殺。二人の遺体を引き取ったフランケンシュタイン男爵はハンスの魂をクリスティーナに移植し復活させるが、彼女は新犯人の男達に復讐を始め…というストーリー。
ハマーのフランケンシュタインシリーズの4作目です。監督は前作は都合で交代したテレンス・フィッシャーが復帰して務めてます。
殺人犯の息子で男爵の助手を務める青年ハンスは恋人の酒場の娘クリスティーナに絡んだ男3人組と乱闘になり、それを逆恨みした男達はクリスティーナの父親である店主を殺害し、その罪をハンスに着せハンスはギロチン刑に。悲嘆したクリスティーナも自殺しますが、男爵が魂を新たな肉体に宿す実験に使い復活。ハンスの魂の導きによって復讐を開始します。
今回も怪奇ホラー色は低めで「ロミオとジュリエット」のような悲恋物になっています。前半はハンスとクリスティーナの悲恋のドラマと人造人間が出来るまでを丁寧に描いています。後半の復讐シーンではとんとん拍子で復讐成功していく所はテンポは良いけど簡単に進みすぎな所はあるかな。
今回男爵は狂言回し的な役回りになっていますが、自らを被検体に死んだ後に何時間魂は肉体にとどまるかの実験したり、死刑決まったハンスの死体を死刑前から実験に使う為に手に入れる計画立てたりと相変わらずのマッドサイエンティストぶり見せますが、ハンスの裁判で黒魔術も使ってると揶揄されたら「黒魔術に博士号有れば名誉教授でしょう」的な事いったり、「優秀ですな」に「もちろん」と返す等揺るがぬ自信見せる所はカッコイイ。でも殺人犯の息子として偏見で見られるハンスに「誠実で実直な男」と弁護ではなく彼個人として見た感想言ったり、終盤復讐に走るクリスティーナを止めようと奔走したり(ここで家の屋根から屋根へ飛び移る所はおお!と思いました)、ラストのやりきれない表情浮かべて去っていく姿等、完全な善人とは言えないまでも、男爵の善良さや人間らしさが見える所は良かったですね。
クリスティーナを演じたスーザン・デンバーグはプレイメイト出身のモデルさんですが、顔に傷があり足に障害持ちながらも健気に生きる村娘、記憶をなくした純粋無垢な美貌の人造人間、美貌と色香で男達に近づく復讐鬼の三役をこなしていく所は素晴らしいですね。ハンスは正義感と優しさあるけど本人も自覚してるけど短気過ぎかな。それで追い込まれますし。男爵の助手を務める老医師ヘルツのとぼけた味わいと人造人間クリスティーナに微かな恋心抱くようなところも良かったですね。
対象になる男達も貴族の紳士風の見た目ながらクリスティーナをバカにする歌大声で歌ったりと中身は本当にゲスな感じです。後半ではホイホイクリスティーナの誘いに乗る所は滑稽ですね。殺害シーンでは犠牲者の怯えた顔や凶器を振り下ろす瞬間にギロチンが下りる映像や斧で薪を割る映像に切り替わる演出も面白いですね。
ラストはまあそうなるだろうなという感じですが、悲しさとやりきれなさが残る結末ですね。
シリーズの中では地味な印象の作品ではありますが、悲恋のストーリーも良くて男爵の人間らしい姿等楽しめました。