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オリバー!のkojikojiのレビュー・感想・評価

オリバー!(1968年製作の映画)
3.0
 ディケンズの小説「オリバー・ツイスト」を「第三の男」の監督キャロル・リードがミュージカルにした映画。
主演はマーク・レスター、ジャック・ワイルド
そう、「小さな恋のメロディ」の名コンビだ。

これだけでも十分期待できるのに、ミュージカル仕立て。これは楽しみと思って観たら、
最低の映画だった。腹立たしさしか残らなかった。

※注意

と、いうことでこの映画を評価されてる方はスルーして下さい。多分気分を害されることになります。申し訳ございません🙇


 まず一番残念だったのは、主人公のオリバー・ツイストに主体性がないこと。ただ運命の波に飲まれているだけでなんの抵抗もしないストーリー。
最後ぐらい悪党のビル・サンクスに立ち向かって欲しかった。

 基本的に子供虐待の話は許せないし、好きになれない。それを取り上げるなら、それに対する製作者の考えを少なくとも暗示でもいいから示すべきだと思っている。

 ディケンズの名作だろうが、名匠キャロル・リードの作品だろうが、アカデミー賞作品賞だろうが、人間の一番大事な部分を無視するような映画はやっぱりいいとは言えない。どんな映画の撮り方をしていても。

 別に泥棒の話でも、子供虐待の話でもいいのだ、そういう時代であったのなら。しかし、こういう問題を取り上げるのなら、最終的には自分はどう考えるのか明らかにすべきだ。子供虐待を放置し、片棒を担いだものが、嬉しそうにこの仕事はやめられないと笑いながら去っていくラストには感覚がおかしいのではないかとしか思わえなかった。この場面で観客は笑って見送るのか?なんの反省も示さない者に対して。
 しかも直前相棒の少年が盗んで財布を受け取り、嬉しそうに財布は厚いかどうかと笑っている。
 この財布を盗まれた者はどうなるのだ。これに対してあなたはどう思うのか?
製作者に聞いてみたい。何がこれで笑えるものか。
私は、ミュージカルだけにタチが悪いと思っている。

#1251 作品賞(87/95)
2023年 386本目
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