らんらん

弥次喜多道中のらんらんのレビュー・感想・評価

弥次喜多道中(1956年製作の映画)
4.0
江戸の長屋で同居している仲良しコンビの弥次さんと喜多さん(市川雷蔵&林成年)
家を借金取りに囲まれた2人は夜中に穴を掘り夜逃げ、地上に出てみるとそこは墓地だったり
そして、ここで突然喜多さんが声が出なくなる
とにかく医者だってことで、有名な休庵先生に診てもらいに行くが、たった今京都へ旅立ったとかで追いかける2人

無事休庵先生に追いつき診てもらうと、今流行りのオランダ熱とかでかなり危ない病気らしいのだが、先生はキュウリ石なるものをもっており、このラジウムによる放射能で一瞬にして治療出来ちゃう(ちょっと特撮っぽいシーンあり)

先生は京都で流行しているオランダ熱に苦しむ子供達を救うため向かう途中なのだが、キーとなるキュウリ石は高価なものなのでそれを狙う太陽族や愚連隊がいたり、間抜けた岡っ引き、何かと一緒になる女スリや女一座が続々と登場!

劇中何度も歌唱シーンありのミュージカルっぽくもあるドタバタコメディ時代劇です、時代劇だけど喜劇なので時代考証とか関係なくどんどんカタカナ言葉や当時の流行ネタが飛び出してくるそんな映画となっています

以下感想
素直に面白かった!みんなキャラが濃いの、そして生きてるキャラクターって感じ
一応主役としては市川雷蔵、林成年、ヒロインはおそらく阿井美千子なんだけど
群像劇みたいなところもあって、とにかく入り乱れてのドタバタ
正直市川雷蔵が見たいだけで、その他の出演者はたいして期待してなかったんですがなかなか良かった

雷蔵にうっとりして、林成年のメインの活躍に驚き、いつもながらの阿井美千子の姐さんっぽさ色っぽさを感じながら、若くて可愛い小町瑠美子や江島みどりを堪能し、山茶花究や堺駿二、花菱アチャコの喜劇っぷりを楽しみ、島倉千代子や田端義夫の歌に酔いしれる

もちろん全然世代でもないので歌もピンとこない初めて聞くものだし、笑いのネタも相当古いからよくわからないのもあるんだけど、時代劇でこの開き直り?勢いが素晴らしいじゃないですか
なんだろ、ちゃんとしてないけど、ちゃんとしてるの!面白いは正義で、あまり悪ノリ感がしないのが良い

宿場でまるでデパートのアナウンスのような放送が入るシーンも面白いし、数々のカタカナ言葉、それを自然に、当たり前に使って皆んなスルーなのも良いですよね
太陽族とか愚連隊、そして太陽の季節、処刑の部屋なんて言葉も出て来たり

当時の流行ネタがほとんどなんだろうけどなんかクスッと来るんだよね
たぶん昔の映画見続けて来たおかげである程度理解があるのも大きいと思う
処刑の部屋なんて言われても今通じないでしょ
阿井美千子なんかの登場シーンも「急にさしこんできて」とかあるけど、サシコミなんて時代劇か寅さんでしか聞いたことないもんね

ま、そもそもを言うと今更このモノクロなマイナー映画見ようとする人なんてご年配の方かマニアとか変わり者がほとんどなんだろうけどー
らんらん

らんらん