セッセエリボー

ファニーとアレクサンデルのセッセエリボーのレビュー・感想・評価

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)
4.8
これ最初の死神こわすぎないか。大写しになったシャンデリアがスクリーンを埋め尽くしてシャン...と揺れてるときただごとではない空気が劇場を支配していた。正直前半のパーティが良すぎてそこだけで充分な感じはしつつ、広大な広間を縦横に移動する人物を追った長回しのカメラが途中で軌道を逸らして途中にいる人物のうえに着地するという独特の撮り方によって夥しい登場人物をひっきりなしに画面上に出入りさせ騒々しくも流麗な印象を生んでいるのと、異様な数の蝋燭や灯される街灯、一同の到来を告げる馬車の灯など薄暗い画面に点々と灯る光が何かの物言わぬ合図のようで非常に美しかった。再婚してから色彩は鮮やかな赤から一転して抑制された白になり、ショットも厳格な構図のフィックスが多くなる。狂騒と抑圧、赤と白、現実とマジカルな世界の行き来はベルイマンのキャリア集大成という感じの豊穣なものだった。なんかすごすぎてよくわからなかったが最後に映画館で見れてよかった。