ヤマニシ

ファニーとアレクサンデルのヤマニシのネタバレレビュー・内容・結末

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

 ファニーとアレクサンデルってタイトルだけど、あんまりファニーは出番がないね。セリフもほぼなし。
 司教様がシンプルDV夫なの嫌すぎる。社会的な地位があって信用されている人が家庭内では横暴なのは現代でもあるあるだと思うけど、昔はもっとひどそう。司教様はマジで自分のことを正義だと思っているのが怖い。睡眠薬飲んだシーンで、相手に助けを求めるような発言した直後に相手を脅迫する発言が出るあたり真正のクズやなって思った。法的にも正義の人なのでこっちの意見は何一つ通らないのは相手からしたら絶望しそう。死してなお小物感を見せつけてくる司教様は小物界の大物かもしれない。司教様は一番印象に残ったけど、主人公もまあまあいい性格している。相手を陥れるために平然と嘘つくの心臓が太い。お休みを言わない気の強さもいい。子供ゆえに最後は敵わなかったが、屈服しない精神をもってて好感が持てた。
 尺が長かったが要らないシーンも結構あったなという印象。特に第一部はほぼなくても問題なさそう。特に今後の話に絡むわけでもないし、めちゃくちゃ妻を罵倒している夫のくだりは要らなかった気もする。とはいえ序盤で幸せそうな雰囲気を出してたから中盤以降の展開で落差が感じられてよかった。背景の美術も凝ってていい。そのあたりも殺風景な司教の家との対比になっている。4人で暮らしてるのに家広すぎるだろとは思った。
 それ以外にはちょくちょく意味が分からないシーンもあった。子供を連れ去るシーンでは寝室に連れ去ったはずの子供が床に寝てたのは何?あと、母親が一時的に心変わりした理由もよくわからない。まあ、その場に司教がいたからそう言わざるを得なかったのかもだけど。
 ラストシーンもいい感じにみんなで記念撮影したけど、解決してない問題が多くて先行き不安なまま終わっちゃった。素直にハッピーエンドとは言えない感じが嫌だが、ビジュアルが素敵で司教の邪悪さも楽しい映画だった。
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