チッコーネ

叫のチッコーネのレビュー・感想・評価

(2006年製作の映画)
3.0
終盤までは独特の雰囲気とストーリーテリングの妙でワクワクさせてくれるのだが、自宅の一室に遺体が放置されっ放しで、自分も周囲も不審に思わないという状況にはどうしても無理があり、シラけた。
また葉月里緒奈演じる「赤い女」の霊障には一定のルールというか、特徴があったはずなのに、終盤でいきなり主人公の同僚に飛びかかるという展開にもがっかりする。
所詮絵空事の幻想ホラーとは言え、やはり一本の筋はきちんと通して欲しいもの。
黒沢作品はそのあたり手綱が緩いことが多く、手放しの支持に繋げにくい。

特殊メイクを施さなくても移動スピードと、風に吹かれる姿だけで十分に怖い葉月里緒奈の姿は良かった、全然瞬きしないのが凄い。
振動で揺れる水面を映すだけで、不穏を煽るという撮影も面白い。
イケメンでもないのにイケメン風に見せている役所広司のヒステリー演技は不快。