マヒロ

マチネー/土曜の午後はキッスで始まるのマヒロのレビュー・感想・評価

4.0
フロリダの街を舞台に、キューバ危機に揺れる大人たち、そんな街にやってきた「B級ホラー4D映画」の監督、そして恋する少年少女達が入り乱れててんやわんや、というお話。

現実の問題であるキューバ危機と、映画に恋に熱狂する子供たちというなんだかわけのわからない組み合わせなんだけど、この狂乱が一つの映画館という舞台で見事に収束していくのが面白い。『グレムリン2』でも映画館で起こる騒動が一つの見せ場になっていたけど、ダンテ監督にとって映画館とはただ映画を観るだけでは無い"お祭り騒ぎ"の場であったのかな。おとなしく映画を観るような経験しかしたことのない自分にとっては、それを擬似体験させてくれるだけでもなんだか楽しい。

CGの台頭や撮影技術の向上で、きょうびめっきり見なくなってしまったB級ホラー映画。もう忘れかけていたそういうものを純粋に楽しむ心っていうのを描きながら、決して「昔は良かった」な懐古主義にならずに、映画として真っ当で素敵なボーイミーツガールものに仕立て上げて、前を向くことすなわち未来への希望をも持たせているあたりが素晴らしいね。


(2015.104)
マヒロ

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