くもすけ

砂の器のくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

砂の器(1974年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

確かに傑作。あちこち旅した気になれるのがいい。

ハンセン病の差別により故郷をおわれ、父と生き別れる。別人としていき始め、華々しい大成功の間近に、その出生の秘密を知る唯一の男が上京してくる。実の父が死の床に就いている、と聞いた作曲家は、しかし再会を望まなかった。

原作では3人殺している。愛人の扱い含め、容疑者の扱い具合が絶妙。一切を語らない、殺しを見せないゆえ、いろいろ想像が広がる、珍しい構成の殺人捜査もの。山田と組んだ橋本のシナリオは、他作でも記憶を頼りにした似たような構成が多い印象。

他に容疑者がいるでもなく、映画は丹波の推理を信じて、ピアノコンチェルトの演奏に、足で稼いだ記憶を元にした旅情を執拗にだぶらせて勝手に終幕する。稀代の作曲家に惚れて書いたライナーノーツのような趣き。そういえばへっぽこ俳句はどうなった?