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砂の器のcamusonのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.0
加藤剛の出番は後半の演奏会を除くと数える程度で台詞も少なく、
主演は丹波哲郎。これは意外でした。

時間を計ったわけではなくて、正確ではないのですが、感覚的に、
前半の前半:警察老若コンビ、丹波哲郎と森田健作による捜査。
前半の後半:丹波ひとりで捜査継続。被害者特定。犯人特定。
後半:加藤剛の演奏会で「宿命」と名付けられた新曲が熱奏されるのと同時進行で、
丹波哲郎による署内捜査報告により、事件の全体像が明かされる。
という構成。

作品の中盤で犯人が確定するだけでも、おっ?残りどうする?と思いましたが、
残り時間で、犯人による犯行に関する行為は一切描かないという、
かなり型破りで斬新な構成だと思いました。

前半は、東北弁の「カメダ」という手掛かりのみで、
あてずっぽうで捜査を進めるのですが、
まだ交通機関が発達しておらず、資料はすべて紙ベース、
足で稼ぐしかない牧歌的な捜査が、
懐かしい風景とともに、とても魅力的に映像化されていて、
一気に引き込まれたのに対して、

後半はかなり間延びして感じられて、
個人的にはそれほど大きな感動は得られなかったかなという感想です。
それでも、加藤剛の父親役、加藤嘉の演技には感動しましたが。


斬新な構成は評価したいのですが、
犯人の殺人に至る動機が自分の中でなかなか埋めきれないのですよね。
殺すまでかなと。犯人の残忍性のようなものはあまり描かれていないし。
(恋人に中絶を強要するシーンがあるくらいで)
父子の放浪の旅はなんだかんだ楽しそうやんと思ってしまったし・・・

ここらへんは原作だとまた違うのかもしれません。
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