サーフ

砂の器のサーフのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.5
良質なミステリー作品であると同時に良質な人間ドラマでもある今作。

東京・蒲田の国鉄の操車場で殺人事件が発生するが、手がかりは乏しく操作は難航。
被害者が事件直前に訪れたバーでの会話を頼りに秋田へ赴くが収穫は無かった。秋田から帰途につく2人は新進気鋭の音楽家、和賀と遭遇する。
事件の全容が見えてくる中で被害者男性と新進気鋭の音楽家和賀の人生が交錯していく…と言うのが大まかなストーリー。

前半は手がかりがまったく無い状況から次第に事件解決の光明が見え始め、事件の全容が解明されていく面白さはある。
事件解決へのプロセスの描き方は本当に地道に自らの足で情報を得ていくという物。一気に明らかになるのではなく本当にちょっとずつ真相が見え始めていくというのが面白い。

粗方事件の真相がわかった段階で物語はこの映画の犯人の持つ過去という人間ドラマへと移行していく。
事件が発生するまでの背景には何があったのか。そこには親と子の間にある複雑な親子愛。愛と憎しみと悲しみ、生まれ持った宿命、周りからの差別的な視点…。色んな感情を内包した親子の愛。何というか…一筋縄ではいかない愛が本当に悲しい。
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