LalaーMukuーMerry

砂の器のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.8
とても奥深い名作。私の中では日本映画でナンバーワンの感動。
殺人犯探しの推理ものかと思ったら、主題はそこではない。
捜査の過程も面白いのだけれど、こんな事があったのかと、捜査で明らかになっていく容疑者の生い立ちの真実にぐいぐいと引きこまれる。
セリフなしで続く、想像を絶する過去の回想シーン。不知の病と恐れられたライ病患者に対する無知ゆえに生まれた不幸。親子を助けた人格者の警官。終戦後の混乱期の戸籍の操作。過去を消して音楽家として成功しても消すことのできない親子の宿命。
背景に流れる彼の音楽と美しい映像が素晴らしい相乗効果を出している。
親子の別れのシーンと、生きていた父親が、我が子の写真に知らないと泣き叫ぶシーンに号泣。凄い映画です。