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砂の器のアのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.0
思いは様々溢れますが、日本の誇るべき名画だなあ、とまとめたい。そんな作品です。戦争、ハンセン病、地方ー東京、方言、人情、四季、そして父と子…小津・溝口などの昔の邦画を観ると私は必ず「日本人で良かったなあ(=この感覚が何の説明もなしに理解できる自分!)」と思ってしまうのですが、『砂の器』もそれが散りばめられていると思います。
ある殺人事件を追っていくと、ひとつの親子の人生が浮かび上がってくる。事件解決のためあちこち探し回る刑事があくまで主人公だけど、彼らはただのストーリーテラー。感情は完全に親子に移入するのは、橋本忍と山田洋次の脚本様様だと脱帽します。
誰が犯人か、どういう種かすべて分かっちゃいるのに、ラストの丹波哲郎の語りのシーンでべちょべちょ泣いてしまいますね。ピアノを引く和賀×放浪する親子のカットバックは、ヤバい。四季×親子、あかん。分かっちゃいるのに涙が出ます。過去ー現在を行ったりきたりする描写、もしかしたら個人的に涙腺崩壊しちゃうのかもしれません…『ブルーバレンタイン』とかね。
伊勢の名画座の支配人役やってる渥美清は、完全に松竹の遊び心。笑 笠智衆、佐分利信なんてお決まりメンバーもチョイ役ながら贅沢。それにしても毎年授業でお会いしてる山田洋次さん、彼の作品を観る度に、こんな人が今も現役バリバリやってらっしゃること&同じ時代を生きていることに脱帽、感動します。ありがとうございます。
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