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砂の器のmikumiku1188のレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.5
何故この傑作を今まで見なかったのか。反省頻りの私でした。

皆さんご存知の松本清張原作のミステリーを野村芳太郎監督が独自の描き方を加えた作品。
何と言っても特筆するシーンは丹波哲郎演じる警部補が犯人を解明する捜査会議のシーン。管弦楽のコンサートシーンを背景に切ない‘宿命’を背負った父子のやるせない思いを胸に彷徨い歩くシーン。まだ病に対する偏見が強く蔓延っていた時代にハンセン病という難病にかかってしまった父。その為父子は定まった住まいを持てずさまよい歩くのだった。このシーンが見る者の心を打つ。
そんな境遇に育った男の‘宿命’。皮肉にもその自分の思いが傑作の音楽を生み出していく。
クライマックスに至るまで二人の警察官の地道な捜査過程が丁寧に描いて観客の推理心を盛り上げてこれも見事な描き方だったと感じます。
他のレビュアーさんの投稿が40年前の作品にも関わらず長期間途切れないのもうなずける作品でした。
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