ポンコツ娘萌え萌え同盟

怪獣王ゴジラのポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

怪獣王ゴジラ(1956年製作の映画)
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原作のゴジラ(1954)(以下:初ゴジ)は100点つけたいくらい大好きな作品なのだが、この海外公開のための再編集は全くダメだ。
邦画から洋画でも例えば七人の侍→荒野の七人、用心棒→荒野の用心棒みたいに作品に合うよう世界をまるごと再構築してるなら受け入れられるが、
これは初ゴジの世界観と映像そのままのものに新録の映像を異物混入させて再構成している。

初ゴジそのもの内容自体は今更語る必要もないと思うけど、
本作は初ゴジに存在しないアメリカ人記者スティーブの視点でゴジラ災害を描いてる。
初ゴジの公開が戦後からそれ程経ってないし第五福竜丸事件があったことで核と戦争の影が残る中でのゴジラ災害とその悲惨さのリアリティを感じたのだが、
本作は逆にそのスティーブの視点から見たことによって初ゴジを見ることで別の感想も湧いてくる。
初ゴジという完成された物語の中に今更雑に取って付けたかのような記者の内容は本当に必要だったのだろうか。中途半端だし。
内容の大まかの流れ自体は初ゴジと同じだが一部シーンがどうも気に食わない。

まず何を思ったのかゴジラの姿が登場する前の序盤に、
原作にもあったある場面を持ってきたことで出来事の順番に矛盾が生じてしまっている。
日本人あるいは日本語わかる人が観たら明らかに違和感を感じる部分だと思う。
誰も止めなかったのだろうか。
他にもシチュエーションの違いといえば恵美子さんの研究室でみた光景の告白をするシチュエーションの違いが恵美子さんの名シーンを壊してしまっているし、
芹沢博士を説得する場面なんて若干端折っていて特に芹沢博士の重要な「俺の頭には残っているの」くだりのセリフがカットされているのはない。日本語訳見る限りセリフもニュアンスは近くても少し異なる場面が平田昭彦の名演破壊してしまっている。
本作がゴジラの持つ反核のテーマを一部削いでる反動のでかさも感じる。
そして何より悲惨さ、悲惨さは確かにあるけど初ゴジで感じた悲惨さが個人的には本作は視点もあってか薄みに感じる。

とはいえ映像自体は初ゴジの物を使っているため、怪獣特撮としては見応えはあるし初ゴジや本作を共通して名場面とも言える東京を侵攻するゴジラの場面はやっぱり大好きだ。
でも結局は初ゴジ見たのなら本作は見る必要はない。というか見ない方がいい。

すいませんがあまりに評価をつけがたい作品なので本作は点数なしにします…。