青あお

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いの青あおのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

“そこにいるのか?”

再鑑賞しました。思い入れの強い作品なので長くなっちゃうかも、笑。

9・11同時多発テロで父親を失った少年が葛藤を乗り越え成長していく姿を追った物語です。

当時のテロによる混乱や世相というよりも少年の家族を失った悲しみに寄り添うように焦点を当てた作品です。

主人公オスカーは自閉症の一種であるアスペルガー症候群です。
このアスペルガー症候群に多少の予備知識をもっておかないと彼の言動がわがまま、気が小さい、神経質、など奇異なものに見えてしまうかもしれませんね。

ある日、彼は父が残した「鍵」の秘密を解明しようと思いたちます。
それは彼にとっては非常に高いハードルです、そうです、アスペルガー症候群ゆえに苦手なものが山程あるんです。

コミュニケーションが苦手、人の感情を汲み取る事が苦手、飛行機もエレベーターも大きな音も。

それでも彼は「鍵」に執着し、勇気を振り絞りもがくように調査を進めます。
父から与えられたこのミッションを通じ成長していく勇気ある姿にホロリと涙が溢れます。

突き放す母親に「あの日、ビルにいたのがママならよかった」と言い放つオスカー。言葉にする事が苦手なオスカーがまるで堰が切れたように押し殺していた感情を発露させた瞬間でした。
ここで号泣、笑。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。
で、ここからが感想です(前置き長っ!、笑)

僕はなぜオスカーが「鍵」に執着するのか、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」のは何なのか いまいち上手く掴めていない様な気がして、再鑑賞にあたって考えながら観たんです。

「鍵」に執着するのは父親の死際に芽生えた罪悪感を払拭するため。
「死」というものを理解し乗り越えるため。
その謎を解明することが父への贖罪だったのでしょうか。

そして
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」のは、両親からのオスカーへの愛情の事だったのかな。

大事な事は人との繋がり、多くの人との出逢いを通じて他者に寛容になっていく、そんな優しいメッセージの込められた作品です。
青あお

青あお