しめちく

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのしめちくのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

見終わった後、ずっしりとした満足感を得られる作品でした。

オスカーのあの計算の緻密さ(子供ゆえの甘さなどはもちろんありますが)や、一つのことに没頭する姿勢は元々の性格もあるでしょうが、アスペルガーだったから、というのもあったんでしょうか。
元より感受性が豊かで、大勢の中を生きることが難しい少年が、9.11によって苦手なものが増えてしまった。大好きだった父を亡くし、父の面影を追うことで父がいない世界から遠ざかろうとする。
たくさんのことを考えているにも関わらず、誰にも言わなかった、言えなかった気持ちを矢継ぎ早に吐露するシーンに涙しました。大小の違いはあれど、誰しもが誰にも言えない罪悪感を持っていると思いますが、あの小さくて細い体に溜め込むには余りにも大きすぎた。
オスカーが持てる力すべてを注ぎ込んだ調査は、彼の望む結末にはなりませんでしたが、それよりもたくさんの大切なことを知った。
母とは分かり合えないと思い込み、一人で生きているかのような時間を過ごしていたけれど、祖父との出会いが彼を強くし、そして自分がいかに母に、たくさんの人に愛されているかを知った。

9.11はひとつの家族に起きたことではなく、何千人、何万人もの人がそれぞれの悩みや葛藤を抱え、その分だけ想いや物語がある。それを20年経った今、改めて考えさせられました
しめちく

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