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ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのcookieのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

9.11 同時多発テロの悲しみを埋めようとする少年と、その家族の物語。

冒頭から感じられるのは、父親の深い愛情。アスペルガー症候群の傾向のある息子に、「調査探検」という遊びの中で自信を持たせようとする姿が微笑ましい。まさに理想の父親。
研究者の道を選ばなかったのは、家族との関係を第一に考えたからなのだろう。
好きなシーンは、テコンドーしながらの矛盾語ゲーム(笑)

大切な人の喪失感が、母親と息子の関係をぎくしゃくさせる。言ってはいけない言葉を口にしてしまったり...
どちらの気持ちも凄くわかる気がする。
本当はお互いの事をとても気にかけているのに。

サバイバルグッズ(気持ちを鎮めるタンバリン、テロ対策のイスラエル製ガスマスクなど)が彼らしい。
祖母とのトランシーバーを使った交信も。

謎解きを通じてひとつひとつ苦手をクリアしていく。結局、自身で克服するしかないということ!
そんな中で、人に心を打ち明けることができたことは大きな変化だった。

それまで母親の愛情が見えにくかった分、後に明かされた行動が心を打った。
会いに行った人全員に手紙を書いたことにも感心。それを受け取った人達の表情を映すところも心温まるものがあった。

薄れていく父との関係性を繋ぎ止めたくて始めた探索。人と関わることで少年を成長させ、家族の温かさへの気づきへと導いていった。
そして、あのラストが更に深く心に余韻を残した。

突如訳もなく襲った9.11の悲劇。心に深い傷を負った人々に思いを馳せ、いろんなシーンで涙がこぼれた。

主演はトーマス・ホーン。演技経験がないにもかかわらず、台詞が多く繊細な役どころを見事に演じていた。
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