よしまる

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのよしまるのレビュー・感想・評価

3.3
 「愛を読む人」「リトルダンサー」で信頼おけるスティーブンダルトリー監督作ということと、友人のススメもあり鑑賞。

 言いたいことも理解できたしそれなりの感動も得たけれど、話の組み立てや言い回しがことごとく気に入らなくて、なんだか微妙な気持ちで暗転すると、監督の次に「脚色エリックロス」という文字が…。思わず椅子からずり落ちてしまった💧

 あぁ、この脚本家は絶対自分に合わないと分かっているのに観てしまったという後悔w 好きな人のクレジットは事前に確認するけれど、嫌いな人のことは気にかけないからこうなるんだ。気をつけよー。

 さて、そんな個人の事情はともかく。

 9.11を題材にした家族の崩壊と再生を描いた物語。トムハンクスとサンドラブロックの名演技は当然ながら、少年の一生懸命さもジンジン伝わってとても良い。
 原作は知らないのでなんともだけれど、主役の少年がアスペルガー症候群であることがあまり活かされてなく(もしかしてそれが数字や理論に強い理由?)、爺さんのくだりもやる意味が汲み取れなかったし、お母さんの〇〇(ネタバレ)な行動に至っては究極の蛇足だと感じた。たぶん話はそうじゃないのに。

 エリックロス脚本をいつもケチョンパに書いちゃってるとおり、今回も同じ。こういうシーンを撮りたくてこういう話を考えた、そしてあれとこれをくっつけた、みたいな作風がどうにも受け付けない。好みだよなあ、こればかりは。

 少年の父を想う気持ち、母への敵対心、世の中への不信、苛立ち、そして寂しさ。
 どれも観る者の胸に迫る痛々しさたというのに余計な枝葉がまとわりついて本質が見えにくくなっている。
 父を亡くし、母の愛を閉ざし、でもいっぱい苦しんで、泣いて、でも立ち上がって困難を乗り越えた先にたどり着いたのはやはり両親の愛情。映画として描き方にイチャモンをつけてしまったけれど、これは素晴らしい物語で、きっと本で読んだほうが良いのだろう。間違いない。