正位置

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いの正位置のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

亡くなった父のクローゼットで鍵を見つけた少年が、その鍵穴を探し奔走する。
棺がからっぽの葬儀、最悪の日、その理由を直観させる留守番電話が読み上げる日時と、その音声の無機質さにひやりとさせられた。
たったひとつの手がかりから何百という人を訪ね歩こうする少年の行動力には驚かされ、呆れもする。しかし同時にあまりに鍵に縋りつこうとする姿には危うさも感じさせる。そして抑圧させていた心情を吐き出すさまは痛切さに満ちている。そんな少年を演じたトーマス・ホーンが素晴らしい。
周囲のおとなたちの存在もいい感じ。。管理人さんとの小生意気なやりとり、おばあちゃんとの無線での会話、出会ったブラックさんたち、特に声を発さぬ「間借り人」と出かけた探索の一連の場面は印象的だった。
ラスト、廊下に荷物を置くことで「間借り人」をまた受け入れることを示すおばあちゃんがなんか好きだなあ。
正位置

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