このレビューはネタバレを含みます
もし今太陽が爆発したとしても、僕たちがそれを知るのは約8分後だ。
この鍵に合う鍵穴を探し続ける事で、その8分間を永遠に引き伸ばすことも、もしかすると無かったことにする事すら出来るかもしれない。
大好きな人の突然の、理不尽な死に対して必死で立ち向かい、もがき、乗り越えようとする主人公。
初めは、弱くて不完全なくせにすべてを1人で抱え込もうとする幼さや、自分1人が苦しむ事で残された他の人を救うことができると過信する姿に苛立ちもした。
でも、どれだけ必死に立ち向かおうとも現実はどうする事も出来なくて、もがくほど愛する人が戻ってこないという事実を突きつけられ絶望する。
そして幼いが故の素直さと不器用さで、時に大切な人達をより深く傷つけてしまう。
心に降りかかり続ける様々な感情達の重みで壊れそうになってゆく彼の姿を見ていると、大切な人を突然、理不尽な理由で無くす事、大切な人の死を乗り越えるとがどういう事なのか、少し分かったような気がした。
