イライライジャ

サバスのイライライジャのレビュー・感想・評価

サバス(1988年製作の映画)
4.5
“白昼夢の中でキスした女”が現実に現れたと思ったら、その女が不気味に笑いながら画面を物理的に回転するという狂った出会い。殺人罪で裁判中の自称400歳魔女。処女を奪ってくれる男を数世紀に渡り待っていた究極の喪女に心奪われ、特殊な妄想くり広げるラブバトル。

『私の血に流れる血』とほぼ同じテーマだけどベアトリス・ダルの存在感と画面の強さが圧倒的。主人公は、やけに詳細に自称魔女が魔女裁判にかけられる白昼夢を見る。妻と話しているのに、後ろに立ってる自称魔女にだけピントが合う。こんな悪魔的で残酷な“目を奪われる”表現には恐れ入った。
現実と非現実が曖昧になり、魔女の存在をも有耶無耶に描く。しかし魔女が集う集会にも参加する。果たして妄想か?現実か?魔術なのか?観ている側も分からなくなるが、その答えがラストに集約してる。あまりにも最高の答えにしばらく興奮冷めやまず。

ルカ・グァダニーノ版の『サスペリア』は明らかに本作から影響受けてると思う。暗闇で燃えたぎる炎に囲まれ、女たちがコンテンポラリーダンスする。というか全編通して暗闇と炎の表現がかっこよすぎる。冒頭の炎も痺れる。かなりドンピシャに好きな映画だった。